まず波を描く。
波の合間から現れるさかなを描く。
タコとくらげと海亀を描く。
海草をたなびかせる海水を描く。
甘い清い塩辛い色とりどりの水を。
全身で描く。
こども芸術大学土曜講座「うみのなかのおさんぽ」へ行ってきました。
おとなもこどもも一緒に、映像と音楽にあわせおっきな紙に海を描き、
その中を散歩するというワークショップ。
スタッフの方がスイミーのスライドを投影し、
リコーダーやバイオリンなどの楽器と歌とダンスでスイミーの世界を奏でだすと
ラッタの目が輝いてスイッチが入ったのが分かりました。
手も足も顔もクレヨンとパステルだらけになって、描いていく、描いていく。
大人の方は普段から自分を制限してるので、自由になるのに時間がかかる。
こどもを見習うように、だんだん自分のタガが外れて楽しめるようになって
そこではじめてこどもの様子にも気付けるようです。
大人はこどもに「上手い絵」を描く事を期待してしまいます。
それは模範的な絵だったり、もしくは大人の思う勝手な「こどもらしい絵」だったり。
つい口を出したり、評価することで、こどもの絵を操作しようとさえしてしまいます。
たとえばこどもがひまわりの絵を描くとき、
みんながみんなおおきな黄色い花がこっちを向いている様子を描くのはおかしい。
低いこどもの背の高さと平行にひまわりの花が咲いていることは、まずないですし。
だから例え、
こどもがひまわりの葉の裏を這う蟻を描いても、
いちめん土を描いても、
もしくは赤いはなびらのひまわりを描いても、
それはすべて正しい。
もしくは、絵を描く事を好まず別のことに興味をひかれても、それも正しいのです。
親子で一緒に活動すれば、自分のこどもがどんな目線を持っているか、
どんな感性で、何を楽しんでいるかを目の当たりにできます。
それは大きな気づきになります。
こんな絵を描けるのはいまだけです。
その絵を大切にしてあげて下さい。
最後に子芸のスタッフの方とこんなお話をしました。
う〜ん、共感するとともに、耳がイタイ部分も。
うちは夫婦とも絵かきなので、
ラッタにも絵を好きになって欲しいって願望が
じんわり圧力になっていたかも〜。
そして運良くラッタも絵を描くのが好きな子だったけれど、
次は技術を教えようとついつい口と手が出そうになることも…
はい、手はうしろ!おくちはチャック!
ですね!
大人の評価や価値観なんて気にせず、
衝動と情熱をもって、
無為であるからこそかけがえのない
この時間を大切に過ごしてほしい。
そんなことを考えながら描き上がったおおきな海を見ると、
スイミーが泳いでいました。